数十億年の時間をかけて形づくられた、ひとつの球体。 その表面では今も無数の粒子が生まれ、消えていく。 私たちが見ているのは、遠い過去から届いた光の残響にすぎない。 それでも、確かにそこに「在る」と感じられる質量がある。
ブラックホールの衝突は、時空そのものを揺らす波を生む。 その振動は13億光年を旅して、地球のわずか原子1個分以下の歪みとして観測された。 宇宙は静止した暗闇ではなく、つねに波打つ海なのかもしれない。
時空の振動はおよそ35Hzから250Hzへと駆け上がる。それは偶然にも、人間の耳に聞こえる「音」の領域だった。
13億光年の彼方からの信号。恐竜が地上を歩くより前に放たれた波が、いま私たちの足元を通過していく。
検出された歪みは10のマイナス21乗。太陽から最も近い恒星までの距離が、髪の毛1本分だけ変わる程度の揺らぎ。
光さえも戻れない境界の手前で、物質は最後の輝きを放つ。 終わりに見えるその場所は、まだ誰も知らない物理学の入り口でもある。 ここから先は、あなた自身の目で確かめてほしい。
RESTART JOURNEY